介護職は「認知症の方の食事拒否が大変だ」と口にすることがあります。そのため、こうした場面に遭遇すると「食事をしないと病気になりますよ」といった声掛けをすることがあるようですが、こういった言葉は実はあまり効果がありません。なぜなら、認知症を患った人の中には、「食事=健康」という認識ができないケースがあるからです。

また、利用者が記憶障害に陥っている場合には、既に食事を済ませたと思い込んでいたりすることもあります。さらに、時間の感覚が混乱して、目の前の食事が朝食なのか、夕食なのかが分からなくなってしまい、箸に手が伸びないということもあるようです。そのため、介護職は、認知症の方がどんな理由で食事を拒否するのかを、まずはしっかりと観察しましょう。そして、一人ひとりに適した対応をする必要があります。

食事を取っていないにも関わらず「既に食べた」と主張するような場合には、「このおかずはとても美味しいですよ」と別の感覚に訴えてみたり、「今日の食事は豪華版ですよ」と興味をそそる言葉をかけると効果的です。また、時間感覚が錯乱している利用者には、「気持ち良い朝なので、食事もたくさん食べたくなりますね」とさり気なく朝食時間が近いことを伝えたりしてみるのも一つの方法です。

さらに、食事の盛り付けやエプロン、食器などを華やかな色にしたりして、食事の時間が楽しくなるような工夫もしてみましょう。食事の時間が楽しく感じられるようになれば、食事の拒否も減るかもしれません。ネット上で見かけた認知症患者の食事介助というサイトには、上記以外のコツも書かれているので、ぜひそちらも読んでおくと良いでしょう。